top of page

志について

コミュニティタクシー会社の創業者の話ですが、ちょっと面白いなあと思ったので紹介します。
 

『「社会に役立つ」を仕事にする人々 社会起業家という生き方 小堂敏郎著 洋泉社発行』より引用。

~多治見に生まれ育った岩村さんは、大学卒業後に就職した会社を三年足らずで辞め、その後、父親の運送会社を引き継いだ。車も人も増やし、好景気の波に乗って事業は急拡大。月給一四万円のサラリーマンが、数年の間に年商一億5000万円の青年実業家に変わった。

「毎晩飲み歩いて、車は高級外車を乗り回して。オレさまがちょっと努力すればこうなるんだ、金がないと嘆く貧乏人は能力なし、努力しないやつだ、と。自分が傲慢になっていくのに全然気づきませんでした」

 だが、気づいたときには、もう手遅れだった。運送の中心だった陶器タイルの需要が落ち込み、売り上げは急降下。バブル崩壊の影響で高価な陶器タイルを使う内装が敬遠され、ユニットバスやコンクリート打ち放しの建物が増えたからだった。

 借金を重ね、支払いの催促で激しく責められ、金融機関の融資窓口では冷たくあしらわれた。「自業自得だけど、とにかく銭、銭、銭・・・・・・という状況に巻き込まれた」と岩村さんは振り返る。二億円の生命保険に加入し、「保険金ですべて清算してやる」とまで思い詰めた。

 転機となったのは、運送業の仲間の一人に苦しみをすべて打ち明けたことだった。彼はこう忠告したのだ。

「龍ちゃん、人間がどう生きるかは志の問題だと思うよ」

「志」-その言葉に、胸の内の何かがうずいて、岩村さんは不意に涙がこぼれたという。お金だけではない世の中、社会への貢献。調子のよかったころは全く眼中になかったような思いがこみ上げた。志は、世のため人のためにあるわけではなかった。岩村さんは「志に目覚めて自分自身が救われた」のである。~

 どうでしょう。たまたま白米一俵御書で「志ざし」を取り上げていたもので。志によって救われるとは面白い視点だと思いました。

  • Facebook Classic
  • Twitter Classic
  • Google Classic
  • RSS Classic
bottom of page